コイスルハナビラ SAKURA

手をつなぎ、去っていく父と子。

時々見つめ合っては、その顔に微笑みを浮かべる。


あたしたちは、その背中が見えなくなるまで、ずっとその場に立っていた。


「親子って……いいね……」


猫さんが、不意に口を開く。


「あたし、もし男の子が生まれたら、『たー』っていう愛称で呼ぶことにしよう……」


そう言って笑う猫さん。


あたしたちは、果てしない優しさに包まれたような、そんな気持ちでいっぱいだった。