コイスルハナビラ SAKURA


「パパっ!!」


たくと君は、あたしの手を離れ走り出した。


「パパぁ!!」


今までこらえていた涙が、大きな瞳から溢れ出す。


「たくとっ!」


たくと君の父親らしい男の人も、目に涙を浮かべて、その手を広げる。


そして……


2人は抱き合い、頬と頬を強く付け合った。


「パパ、パパぁ!」


激しく泣きじゃくるたくと君。


「たー、もう大丈夫だからな。ごめんな……」


その光景に、思わずあたしの瞳からも涙が溢れてきた。

でも、パンダの頭をかぶっているあたしには、涙を拭うことができなかった。


「よかったね……」


隣りに来た猫さんが、そっと言う。


「はい……」


あたしには、そう答えるのが精一杯だった……