コイスルハナビラ SAKURA

たくと君はというと……


時間が経つにつれ、その表情をまた曇らせていく。


この小さな体の中は……

疲労と……

不安と……

寂しさでいっぱいなんだろう……


そう思うと、やりきれない気持ちでいっぱいになる。


あたしも……

子供の頃に迷子になった経験がある。


その時は……

怖くて……

悲しくて……

寂しくて……


まるで、この広い世界に、自分1人だけが取り残された


そんな気持ちになって、その場にうずくまっていたんだ。


でも……


今のあたしが、それに飲まれちゃいけないんだ!


あの時、あたしは色々な人に手を差し伸べてもらった。

その時の大きな手に、あたしはならなくちゃいけないんだ!


たくと君とつなぐ手に力が入る。


「たくと君のおうちの方、いませんかー!!」


あたしは、胸に詰まった想いを吐き出すように声を上げていた。