「……ないパン?」 たくと君が言う。 きゃ~! 繰り返さないで~! 「ねえっ! ないパン?」 う~、こうなったらヤケよっ! 「そ……そうパンよ! 泣かなくていいパンよっ!」 あたしは開き直った。 「きゃははっ! パンパン~!」 ……あれ? ウケてる……? よ~し、それなら…… 「ボ……ボクが、パパたちのところに連れて行ってあげるパン!」 あたしは、たくと君の手を握りしめる。 「うんっ!」 みるみるうちに、たくと君の顔に笑みが浮かんできた。