「ここよっ!」


麻紀ちゃんに案内された先。

若林さんのお店。

それは、レストラン街の一角にあった。

石造りのお城みたいなそのお店は、遊園地のイメージにピッタリだった。


あたしたちは、入り口の大きな扉を押し開ける。

重厚そうに見えた扉だったけど、力はあまり入れなくても開いてくれた。


「わぁ~……」


高い天井、ステンドグラスの窓、あちこちに置かれた観葉植物、そこから顔をのぞかせ、じゃれあっている人形の動物たち。

そして、何より驚きなのは、壁一面に描かれた森の中の絵。

その絵の中に描かれている滝からは、実際に水が流れ落ちていたんだ。

流れ落ちるその水はしぶきを上げ、店内の照明を屈折させる。

滝の周りには、綺麗な虹が浮かび上がっていた。


「すごい……」


その幻想的な空間に、思わずあたしの口から溜め息みたいな声が漏れた。