「……若林さんって、いい人だね~!」


さすが、麻紀ちゃんの知り合いよね!

あたしは、そう思って、隣りの麻紀ちゃんを見た。


……あれ?

麻紀ちゃん?


麻紀ちゃんは、若林さんが去って行った方をいつまでも見つめている。

頬をピンクに染めながら。


「……麻~紀~ちゃん?」

「うわぁ、さくら!!」


目の前で手を振るあたしにようやく気付いた麻紀ちゃんは、驚きの声を上げて後ずさった。


「麻紀ちゃん、どうしたの?」

「な、なんでもないよ! ほらっ、行こう!」


そう言ってごまかすと、麻紀ちゃんは勢いよく走り出した。


「あ、ちょっと待ってよ~!」


あたしも、慌てて後を追う。


麻紀ちゃんのあの表情……

あの仕草……


あたし、ピ~ンと来ちゃった!


わかりやすいなぁ、麻紀ちゃんは!


あたしは込み上げてくる笑いを抑えながら、走る麻紀ちゃんの背中を見つめた。