コイスルハナビラ SAKURA


「おはようございまーす!」


周りの人に、挨拶をしながら進んで行く麻紀ちゃん。

あたしは、その後ろをついて行った。


麻紀ちゃんが向かった先はレストラン街。

そこには、屋台から立派な建物まで、様々な飲食店が立ち並んでいた。


もちろん、お店の内容も様々だけど……

そこにあるお店、全てに共通することがあったんだ。


それは、遊園地のイメージに合う外観ということ。

まさに、遊園地内のレストラン街と呼ぶに相応しい作りになっていたんだ。


そこは、まだ音楽こそ流れてはいないけど、開店の準備で動き回る人たちがいて、とても活気があった。


その賑やかな空間は……

あたしに、涼ちゃんと行った遊園地を思い出させるのには十分だったんだ……


「……さくら?」


麻紀ちゃんは、少し沈んだ表情になったあたしに気付いたみたい。
心配そうに声をかけてきた。


「どうしたの?」

「ううん……何でもない……」


あたしは、涼ちゃんのことを悟られないように、麻紀ちゃんと目を合わせずに答えた。


でも……