コイスルハナビラ SAKURA


「な、何!? どうしたの、麻紀ちゃん!」


慌てて麻紀ちゃんに駆け寄る、あたし。

すると麻紀ちゃんは、あたしの目覚まし時計を指差した。


「……あんたの目覚まし……うるさすぎ!」


麻紀ちゃんは、眉間にシワを寄せて言う。


「え~? 普通じゃな~い?」

「……普通じゃないって。 うち、火事でもあったんかと思ったよ!」

「そんな大げさなぁ……」


笑うあたしに、麻紀ちゃんは頭を抱えて『いやいや』と振った。


「うちは……もっと、爽やかに目を覚ましたかったよ……」


幼稚園の頃から愛用してきた、このピンク色の目覚まし時計。

逆に、あたしはこれじゃないと起きられないくらい。


「麻紀ちゃん、変わってるな~」


でも、そう言うと、言葉が倍になって返って来そうだったので、今回は口にするのを止めておいた。