「ううっ……ぐすっ……涼ちゃ~ん!」



よく晴れた青空の下、あたしの泣き声が響き渡る。

校庭にいる者の視線が、一斉に集まるのがわかる。


「バ、バカ、さくら! 泣くなや!」


涼ちゃんと呼ばれた彼は、慌ててあたしを抱き寄せた。


「だって……だって……」


『涼ちゃん』こと瀧川 涼介(たきがわ りょうすけ)は、あたしを抱きしめていた腕を緩めると、ツンと跳ねさせた髪を無造作にかいた。

それは、困った時の涼ちゃんの癖だということを、あたしは知っている。


「だって……涼ちゃんと……もう、毎日会えなくなるぅ……う~」

「あんな~、さくら……」


涼ちゃんは、あきれた様にあたしを見た。