朝7時。母親に起こされる。


「顔を洗って来なさい。」


そう言われ洗面所に向かい、小さなイスを使い顔を洗った。
リビングに行くと父の姿はなく、ソファーには青の制服。
テーブルには青のみの朝ご飯が用意されている。
母はキッチンで洗い物をしていた。
いつもと何ら変わりのない光景。3人揃って食事を取った記憶など青にはなく、これが当たり前だと思っていた。
用意された保育園のポロシャツと紺色の半ズボン。白い膝下のソックスを穿く。
黄色い肩から掛けるバックには、ハンカチとポケットティッシュ。うさぎの絵の書かれた連絡帳。宿題で出されていた平仮名の書き取りプリントにえんぴつと消しゴムの入った筆箱。そしてお弁当が入っている。
それを確認してから朝ご飯を食べる。それが決まりだった。食事が済めば歯磨きをする。そして父が自室から出てくるまでに以上のことを終わらせて置かなければ、




「―――っ」






洗面所の入り口に気配を感じて振り向けば、ネクタイを息苦しそうに締めた父が無言のまま立っていた。
青の頭が真っ白になってゆく。