すごい。

もうみんなの注目だ。

「席どこですかー?」

「真ん中の一番後ろだ」

先生がその席を指差すと、早坂くんと目が合った。

(うわっ)

つい逸らしてしまうと、早坂くんは私の隣の席へ座った。

「目、逸らしたでしょ?かなしー、俺」

「あ、そんなつもりはなかったの、ごめんなさい…」

慌てて誤解を解くと早坂くんは笑った。

そして、通学カバンを机の上に置くと、堂々と教卓の前に立って先生の名前の横に自分の名前を書く。

「ええーと、早坂理生でーす!名前女の子だけど立派な男子でーす。中学んときサッカーしてました、よろしく‼︎」

「おい!先生の横に書くな!!」

ドッ、と笑いが起こる。

よろしくー!と声があちこち響き、もうみんなは彼に食いついていた。

すごい…。

初対面なのに。

前から友達だったみたい。