「―――・・きりーつ、れい、さよーならー」

「んじゃあ、気をつけて帰れよー」

ドキドキの今日は思ったよりすぐに終わり、皆教室を自由に出ていく。
皆、今日作った友達と楽しそうに帰るみたいで。
これといって友達もできなかった私は一人だけど・・。

靴箱は中学とは違って、戸がついたロッカー式の靴箱だった。
自分の出席番号のロッカーを探して靴を脱ぐと男の子達の声が近づく。

(うわ、早く帰ろ・・)

男の子が近くに来るだけで無駄に緊張してしまう私は、来る前に外に出ようとした。

「あれ、菜緒じゃーん!」

突然名前を呼ばれて振り向くと。

リオ君達だった。

「もう帰んの?早くね?」

「特に用もないから・・」

なぜか、リオ君の姿を見てドキっとする。
ついさっきも教室で見たばかりなのに。

「須藤、だよね?」

リオくんともうひとり、さっきの男の子が私に質問を投げかける。

「あ!カズにも紹介するな!菜緒ちゃんデース!!」

「わッ」

無駄に明るく言うリオ君は私の頭をわしゃわしゃした。