「俺に道理を説くと言う訳か……良いだろう。壬生浪士組局長……芹沢 鴨。憶えておいて、損はないだろう」
小さく頭を下げて見せると、芹沢さんは次はお前等だと言わんばかりに、眼を向けた。
さっきの赤い顔した男は、顔を一瞬歪ませると、観念したかのように名を名乗った。
「同じく局長の、新見 錦だ」
グッと握り締められた彼の拳を見る限り、私は相当嫌われてるらしい。
まぁ……人に好かれようが嫌われようが、どうでも良いんだけどね。
「近藤 勇と申す……以後、御見知りおきを」
芹沢さんの左隣りに座る、落ち着いた感じの人。
この人は、良い人なんだろう。難しい顔をしていても、性格が滲み出てる。
「そして、右から……副長の土方 歳三、山南 敬介。副長助勤の沖田 総司 、藤堂 平助だ」
近藤さんの紹介に合わせて、一人一人、頭を下げた。
「夜神 詩弦です」
「詩弦か……良い名を貰ったな」
芹沢さんは小さく笑った。
こんな顔もするんだなと、一人驚く。
笑わない人だと思っていたけど……。
やっぱり、人の勘は当てにならないらしい。
「今、詩弦の事で話していてな」
初めて会ったのに、もう呼び捨てなんだ。
そりゃ、芹沢さんの方が私よりも一回りもふた回りも歳上だけど……。
「と、言いますと……?」
「処遇について話し合ったんだが、まだ纏まらんのだ。刻に詩弦、姓があるという事は、武士の出か?」
武士……?
この平成の世に?まさか、十九世紀じゃあるまいし、武士なんて居るわけない。
「いいえ、違います」
あ、でも先祖を辿ればそうだったかもしれない。
そう思ったけど、私は言わなかった。

