君が為


ーー


「大丈夫か?もうすぐで大阪に着く筈だから、ちゃんとついて来いよ」


「は……はい」



心配そうな永倉さんに私は何とか返事をすると、今にも棒になってしまいそうな足を必死に動かした。



足を止めてしまえば、最後。
再び歩きだすのは無理だろう。



私の住んでいた平成とは違い、この時代は電車も車もバスも……自転車すらない訳で、人々の交通手段と言えば、言わずもがな。



【徒歩】
これに限る。



この時代に来て、随分と体力がついたと思っていたけど、やっぱり私はまだまだ未熟なまま。



「夜神 詩弦。もう少し早く歩け、先頭とだいぶ差が開いてる」



「そう言うなって、総司。俺たちは男で詩弦は女だ。差が開いて当たり前だろ」



「……先行ってる。優しい永倉さんは、彼女とゆっくりどうぞ」



早速お荷物になってるし、私……。



「すいません、永倉さん。私、絶対追い付きますから、永倉さんも先に行ってて下さい」



「ん……?馬ー鹿、そんな訳にはいかねぇよ。俺の事はいいから、黙って前向いてろ。転んでも知らねぇぞ」



「は、はい。」



私は自分の体に鞭を打って、芹沢さんたちの背中を追った。
永倉さんはそんな私を見て、小さく呟く。



「ーーー」



その言葉はどこからか吹いて来た風に攫われて、私の耳に入る事はなかった。