啓祐はそのうち戻ってきてくれんじゃないか、なんて少し期待してた自分もいた。
だって、就職先決まってこの先一緒にいれるかわからないから私と別れを決めたもんだと思ってた。
だから、やっぱり彩華だ、なんて言って戻ってきてくれんじゃないかな、なんて思ってしまったよ。
なのに、啓祐はもう私じゃない他の誰かと新しく歩きだしてたなんて――…
『――ッ』
溢れ出す涙は、止まらない
――シャ、とカーテンを開く音と共に、いつも笑顔の真紀の顔が酷く歪んでみえた
「…彩華、」
『…真紀、わ、わたしッ…もう、どうすれば、いいの…ッ』
「…、」
『啓祐が、ヒッ、啓祐がまだ好きだよ…』
弱弱しい声と共に、ふわり、と甘い真紀の香水の匂いがした
『真紀、』
抱きしめてくれる真紀の背中に手を回した
『真紀、』
――ありがとう
「…彩華は、頑張ったよ」
『ッ』
「佐々木の事は、すぐに諦められないかもしれない」
『…うん』
分かってる
諦められる程の想いじゃないよ
今の私からしたら卒業してもずっと忘れられる自信はないよ…
「――でも、私は、彩華は佐々木よりいい人が必ず!」
彩海がいきなり大きな声を出すからビクリ、と体が揺れた
『うん』
「必ず!見つかるから…私が彩華をそれまでは、そのあとも、支えるから…」
『――ま、真紀っ…』
バカ、泣かせないでよ…
視界は涙でなんにも見えなくなってしまった
「…なによ、彩華の癖に泣きすぎ!」
気付けば、真紀の目からも、涙
二人でしばらくの間、泣いた
真紀には支えて貰ってばっかりだな…

