「センパイ、最近すぐ泣くよね」



『…そーう、かな』



あ、と気付いた時には遅く、いつの間にか涙が零れ落ちた




…苦しい




モヤモヤーッと心の中に広がっていく





学校を休んだりした時の私に

"どうしたの?大丈夫?"

なんて心配してメールを送ってくれる彼はもういない





「センパイさ、そうやって携帯チラチラ見てもダメだよ」



『――ッ』



自然と楠くんには全部バレちゃうの

長い間いる啓祐より私を分かってくれたりする





だから…苦しい






2杯目のココアを作って彼に手渡す





「センパイの作ったココア、うまいよ」


『…お湯に粉入れるだけだけど?』




彼なりに励ましてくれてるのかな?





「粉の入れ加減とか、俺のココア好きだしね」


意外と甘党の、彼






なんとも言い返せなくて、時計とチラリを見ると、40分



授業があと5分で終わっちゃう





そんな私の様子を見て楠くんはクスクス笑う



「でもセンパイ、3時限目はとりあえず戻ろうね」



『…えー』


戻りたくない、周りの目が怖い




何より、啓祐に会いたくないと思ってしまった






「ねえ、センパイ」



『ん?』