さて。
そんなこんなで無事不思議の森に降り立ったアリス。
『…いや省略しすぎよね?!
大穴を抜けるまでの私の苦労は?!
てゆうかど○でもドアの意味は?!』
はいそこ。地の文に反応しない。
『じゃあまともにやれ』
「まぁまぁ、アリス。
確かに僕もそのボロっボロの際どい服装は大変興味があるけどね?」
『ちょっと待った!あることないこと言いふらすんじゃない!そしていかがわしい言い方すな!
…っていうかあんた誰よ!?』
もはや完全にあくちぶなツッコミ役と化したアリスが叫んだその矛先には。
「これはこれは失礼致したしました。
私、帽子屋、エルでございます。どうぞ気軽にエル、とお呼びください。」
慇懃無礼にお辞儀をする長身金髪の男。
顔を上げてシルクハットを頭に載せると、そこには漫画かゲームから飛び出して来たような整った顔があった。
『わかったわ。で、帽子屋。
兎がどこに行ったかわかる?』
「うん。なんにもわかってないよね。
じゃあさ、とりあえずエルって呼んで?ね?」
『あんた帽子屋のくせに名前で呼べとか何様なの?昔から帽子屋は帽子屋なの。名前が帽子屋なの。
てゆうかなにが"じゃあさ"だ!』
しかしマシンガントークをするアリスをもろともせずに
するりとアリスの腰を抱きに行く彼はなかなかの手練れである。
(ちょっ…!なにすんのよ!離れなさい!)
(好きだよ、アリス。)
(はぁっ?!)