好きな人。




結局桜野さんが去って行ったあとも、あたしは木の幹に隠れポカーンとしていた。

観星に好きな人。

それしか頭になかった。




その瞬間

「槇原先輩!!!」

と誰かに呼ばれ、我にかえった。


振り返るとそこには、可愛い可愛い女子バスケ部の後輩ちゃん。


「…何やってんですか?」

怪しそうな目でこちらを見つめる後輩ちゃん。

そんな顔をしないでおくれよ。

「え?いや、あのね?ん?」

「ストーカーですか?」

「いやいやいやいや、違…」

違…、くなくね?

木の幹に隠れてる時点で、隠れて覗いてる時点で、ストーカーじゃね?


いや違うね!!

事故だね!!

あれは事故だね!!

だってあたしは…!!


「プリント!」

「は?」

「うん、そう!クラスメイトにさ!プリントをさ!届けなくてはさ!いけないのさ!」

「先輩話し方おかしいですよ?」


うん、知ってる!