少し歩いたら、北村くんが立ち止まって…






ーーぎゅっ







と、あたしを抱きしめた。






「き…たむら…くっ」





あたしを抱きしめる力は強く、でも優しくて。





その温かさに、余計に涙がでてくる。





「…泣き虫。
でも…不安になるようなこと言ったからだよな。

朱里、こっち向いて」





いつもの口の悪さとか、からかいとかは一切なく、あたしを真っ直ぐ見つめてくる。





「那月を好きだったのは、もう7年前の話。




…今は朱里しか見えてねぇから」





「北村くっ…」





「俺を信じろ」





そう言って、あたしをギュッと強く抱きしめたあと…





安心させるかのような、優しいキスをした。




ーー『俺を信じろ』





ねぇ、北村くん。






あたし、信じるよ。