新緑の癒し手


 しかし馬鹿息子の性欲の高さはナーバルが考えている以上のものがあり、これ以上の我慢を続けさせるとどのようなことを起こすかわかったものではない。爆発後の最悪な状態を考えたナーバルは、本来であったら絶対に認めたくはないが息子に多少の息抜きを認めた。

 これでは本来の約束である「品行方正」から大きく外れてしまうが、大事に発展する方がナーバルにとって痛手だ。だから多少の息抜き――娼館に通うことを認めるしかなかった。

「本当ですか!?」

「嘘は言わない」

「嬉しいです」

「はしゃぐな」

 幼い子供のようにはしゃぐ息子の姿に、頭痛が更に酷くなっていく。これでいい年なのだから、何かが間違っている。ナーバルはダレスを毛嫌いしているが、真面目そのものの性格面は評価していた。

 ダレスの性格を息子が受け継いでいたらと考えなくもないが、毛嫌いしている人物を多くの神官がいる前で褒めるわけにもいかない。また、セインもダレスと比べられると気分がいいものではない。

「娼婦と――」

「構わない」

 ナーバルが息子の娼婦遊びを認めたことに、一部の神官が「本当のいいのか」と小声で尋ねられる。しかし現在の状況と馬鹿息子の性格を最大限に考慮すれば、これが最善の選択だった。

 本心では絶対に認めたくはないが、認めなければ馬鹿息子は確実に暴走する。もっと厳しく教育を施せば良かったと思うが、今更後悔しても遅い。このように別の意味で立派に成長してしまったのだから。

 親の心情を全くといっていいほど理解していないセインは、父親の了承を得られれば此方のものとばかりにいそいそと部屋から勝手に退出してしまう。勿論、彼が向かう場所はひとつしかない。

「成長していないな」

「……言うな」

「しかし、これでは――」

「わかっている」

 ナーバルと同年代の神官が指摘した通り、これでは当初計画していた内容から大幅に狂いが生じてしまっている。だが、ナーバルが言ったようにこれが最善の選択であって、息子の性格を一朝一夕で治せるものではない。寧ろ、締め付ければ締め付けるほど悪化してしまう。