結果、大半の者が神官の裏の一面に気付いていない。気付いていないからこそ、巫女同様に彼等を慕う。表で多くの信者から尊敬を浴び、裏では金を稼ぐ。我が世の春とも取れる生活に、完全に本来の意味を見失う。
だからといって、全ての面で有利に運べるわけではない。現に巫女フィーナが慕っているのは彼等ではなくダレスの方で、これはどのように足掻いたところで変えることはできない。
この点に関して彼等も鈍感でも馬鹿でもないので、薄々は気付いている。だからこそダレスに暴力を振るい罵倒しようが、彼をフィーナの守護者兼教育係から外そうとはしなかった。
「話は、以上でしょうか」
彼等が一通り言いたいことを言い尽くしたと察したダレスは、そのように言葉を発する。案の定彼の考えは正しく、ダレスの言葉に対し誰一人として言葉を返してこようとはしない。
それに後方で欠伸を繰り返していたセインは、やる気を失い早く帰りたいと思っているのだろう明後日の方向に視線を向け髪を弄くり、長く続くやり取りに辟易している様子だった。
「それでは、俺は――」
「待て」
「何でしょうか」
「い、いや……」
ダレスに負けたくないという心情から思わず言葉を発してしまったのだろうが、その次に言うべき言葉を考えていなかったので後が続かない。それどころか言葉を見付ける為に無理に思考を動かした結果パニックに陥り、言葉がしどろもどろになってしまい、ますます混乱してしまう。
「無いのでしたら、失礼します」
そう言葉を残すと神官達に向け軽く頭を垂らすと、何事もなかったかのような素振りを見せつつ退室する。そして扉が閉まった音が響いたと同時に、数名の神官が舌打ちをしていた。
気に入らない。
何ともわかり易い態度に、今まで話に参加してこなかったセインが苦笑する。勿論、神官達の反応はいいものではなく、舌打ちした者から厳しい言葉が投げ掛けられるがセインは堪えた様子はない。
協調性が乏しい息子の態度にナーバルは肩を竦めた後咳払いすると、息子の態度に付いて注意していく。しかし父親の説教を疎ましく思ったのか、半分聞いて半分は聞き流してしまう。それどころか父親にフィーナとの結婚について尋ね、また禁欲生活が長いことを嘆いた。


