そして――
ルキアと同じ道を辿るのか、それとも歴代の巫女と同じ結末を迎えるのか。フィーナの心情はフィーナしかわからず、ダレスは彼女を側で見守るしかできない。願わくば、安寧の日々を――それが彼の願い。
◇◆◇◆◇◆
フィーナがダレスとの約束を守り、神官達に真実ではなく偽りの出来事を話す。結果、彼女の身は救われたが神官達の攻撃の矛先は全て彼に向けられた。勿論、彼等がこの話を聞き何を仕出かすかは長年の経験でわかっている。だからダレスは、彼等の行動を普通に受け止めていた。
尋問は、得意行為のひとつ。彼等の行動は「異端審問官」という言葉が似合うが、そもそもこのような職業はこの世界に存在していない。存在するのは母親が残した本の中で、行動そのものも本に書かれていた通りだった。言葉と態度で相手を威圧し精神的に追い詰めていくのだが、ダレスにそれが利くわけがない。それどころか、逆に言い返されてしまう。
ダレスの言葉は正論そのもの。しかし彼等はダレスに言い負かされたらプライドが崩れると考えているのだろう、正論に対し独自の理論で返していく。だが、その独自の理論は正しく言えば自分達に都合がいい内容で、誰一人として巫女フィーナの身を心配していない。
「だからです」
「何?」
「だから、連れて行きました」
ダレスがフィーナを連れて行ったというのは嘘であったが、ダレスは相手にそれが真実と思いこませる為に即興で物語を作り出す。即興の場合、必ず何処かで綻びが生じてしまうが弁論に長けているダレス、上手く相手を騙していく。そして、真実として話を進めていった。
「フィーナ様は、巫女としての役割を背負って産まれたのではありません。ですので、接し方をお考え下さい」
「そのようなことか」
「巫女となられる以前は、村で自由に生きておられました。このままでは、フィーナ様は……」
人間、生活の中に何処かゆとりが存在しないと息が詰まってしまう。特にフィーナは巫女として神殿内で軟禁生活を送っているので、ダレスが指摘しているようにこのままの状態ではフィーナが潰れてしまう。だから別の場所へ連れ出し、気分転換をしてもらったという。


