自分の肉体から採血した血を飲んで使用する。ダレスの説明にフィーナの顔から血の気が引き、何処か引き攣っている。確かに、彼女の反応はわからなくもない。採血した血を飲まれていると聞いて普通に振舞っていられるほど、精神は図太くはない。また、気持ちが悪い。
しかしこれで助かっている者もいるので「気持ちが悪い」と、片付けられる内容ではない。血を喉に流し込めば助かるとわかれば、人間は何でもやってしまう種族とダレスは知っている。
(だが――)
フィーナが「使用方法を知らない」と語った時、ついつい神官達が関係しているのではないかと、ダレスは考えていた。だが、彼女が言った言葉の本当の意味は「知識不足」というダレスが考えていた内容とは異なっていたが、下手に神官達が関わっていないことに安心する。
彼女の発言を聞き、最初「勉学」という言葉を聞いた時身構えたのか理由が判明する。家庭の事情でまともな教育を受けずに神殿に連れて来られ、高度な勉学をしないといけない。
これでは身構えるのは当たり前であり、フィーナの事情を聞き今後の勉学に付いての計画を練り直さないといけないと思う。巫女の血に対する知識を聞いていたが、別の情報を得る。これはこれで有難い情報であり、計画を練り直して彼女の学力を高めて上げなければいけないと決意する。
「ダレスも使用するの?」
「血……ですか?」
「うん」
「一度もありません。それに、俺の身体には効かないと思います。母の血が影響しまして……」
「ダレスの血は……」
「ご心配、有難うございます。病は滅多に罹りませんし、傷に関しても回復力は早い方です」
ダレスは自分の肉体を心配しなくてもいいと言うが、本当に丈夫な肉体を持っているのかどうか怪しいので不安になってしまう。それに今まで無事に過ごせていても、人生何が待っているのかわからない。現にフィーナも一ヶ月前までは、故郷の村で畑仕事をしていたのだから。
「ご自身の身体を第一に考えて下さい」
他の者を思い遣る心遣いは巫女として大事なことであるが、ダレスはそれよりフィーナ自身の肉体を第一に考えて欲しいと願う。もし彼女の身に何かあった場合、再び巫女の血が失われてしまう。それに倒れ寝込んでいる姿を見ると、母親を思い出してしまい気分が悪い。


