「この方が……」
「息子が世話になった」
「い、いえ……私こそ……」
竜特有の他の生き物を凌駕する雰囲気に圧倒されたのか、先に続く言葉が見付からない。また、レグナスの後方にいる竜も殺気に近いオーラを放ち、フィル王子を威圧している。人間は、このような生き物を見下し――フィル王子の背中に冷たいモノが流れ落ち、身が竦む。
一方レグナスは、ダレスが高く評価しているフィル王子を見据え観察していく。本当にこの者は、評価するに値する人物か。息子の言葉を信用していないわけではないが、やはり自分の目で確かめないといけない。レグナスは口を開くと、フィル王子の観察を開始する。
「友人と聞いた」
「ダレスは私にとって、いい友人です」
「ゆ、友人ですと――」
信じ難い言葉に、ナーバルが過敏に反応を示す。反応を示したのはナーバルだけではなく、他の神官達も同等の意見。半端者が一国の王子と友人関係とは、絶対にあってはならないこと。ナーバルはダレスとの友人関係が許せなかったらしく、思わず大声で反論していた。
「……黙れ」
「な、何!?」
「今、この者と話している。他の者がとやかく言うのではない。神官は、そのようなこともわからないのか」
「何と、無礼な……」
「無礼は、どちらだ」
ナーバルの声音を遮ったのは、フィル王子の叱責。人間の国の王子なので自分達の味方になってくれると考えていたのに、フィル王子の反応にナーバルは唖然となってしまう。そして知るのは「ダレスが友人」の言葉は正しいもので、彼等の友人関係は決し切れない仲というもの。
「殿下、どうして……」
「神官といいながら、神官として生きていないお前達に嫌気が差しただけだ。何故、周囲と仲良くしないのか……と」
「そ、それは……」
だが、それについて口に出すことはできないでいた。それを言わなくとも差別している理由は明白で、また何度も口に出せば竜達が何を仕出かしてくるかわかったものではない。沈黙を続けているナーバルにフィル王子は溜息を付き落胆すると、自分達の所業をレグナスに詫びた。


