新緑の癒し手


「彼だけではなく、複数の竜も一緒にやって来た。それから考えられることは、ひとつしかないわ」

「だから、決着」

「そう、あいつ等は散々酷いことをしてきたわ。とうとう竜達の限界も越えてしまったようね」

 サニアは竜の群れを一瞥すると、自分の意見を語っていく。こればかりはどうしようもなく、こうなってしまうことは最初からわかり切っていたこと。それから目を背け続けるわけにもいかず、いい加減直視し、どれだけの敵を作ってしまったのか認識しないといけない。

 それが今日訪れたと、サニアは話す。突き付けられた現実は巨大なモノであったが、彼女達は意外に冷静に受け止める。だが、それ以上に深刻なのが火に油を注ぐようなことを言わないだろうか。何せ彼等の口の悪さは、多くの客を相手にしている娼婦の上を行くのだから。

「全面戦争?」

「戦えると思う?」

「無理……よね」

「無理に決まっているわ。兵士達が、まともに機能するかわかったものではない。平和ボケもいいところね」

 サニアの辛辣すぎる言葉に、全員が苦笑してしまう。それでも流石に全面戦争は洒落にならないとわかっているらしく、彼女達は瞬時に笑いを止めると小声で何やら囁き出す。いくら神官を嫌っているとはいえ、それ以外の者達がとばっちりを受けるのも何だか癪である。

 だからといって自分達が彼等のやり取りを止められるわけではなく、いたらいたで邪魔になってしまう。なら混乱している聖都の者を治め、暴動に発展しないように導いてやるのが一番いいだろう。彼女達の意見にサニアは頷くと、自分はダレスを信じていると伝える。

「竜の知能は高いわ」

「それ、ダレスを見ればわかるわ」

「あの馬鹿より、物分かりがいいもの」

「だから、何かがあれば彼が止める。彼は誰よりも人の痛みがわかり、その辛さを知っている。多くの者が不幸になる道を選択することなない。人間以外で、信用しているのだから」

 自分がダレスにこのようなことを願うのは勝手だと思われるだろうが、今頼れるのはダレスしかいない。その時、建物の外から何やら小競り合いをしている声音が響く。どうやら予想通り聖都全体が混乱してきたようで、その声は一か所では止まらず徐々に数が増えていく。