新緑の癒し手


「用意する」

「待っているわ」

 フィーナの返事を確認すると、ダレスはいそいそとハーブティーとお菓子の用意しに向かう。昨晩の出来事が切っ掛けになっているのか、ダレスの変化は著しい。感情を明確に表面に表し、このようにフィーナの身を心配してくれる。それが嬉しかったのか、再び表情が綻ぶ。

 ダレスが感情を表面に出さなければ、身も心も結ばれることはなかった。それに至るまで数多くの耐え難い思いをしてきたが、フィーナはこの状況を迎えられたことに感謝する。ダレスが一緒にいれば大丈夫――そう思っているのだろう、満面の笑みを浮かべ幸せを噛み締めた。




 その夜――

 フィーナはダレスに抱き締められるようにして、寝台で休んでいた。ダレスの本心としてはこのまま彼女と関係を結んでしまいたいが、まだ体力が回復していないので無理強いさせるわけにはいかない。それでもこの状況が幸福に繋がるのだろう、互いに離れようとしない。

「忘れていた」

「どうしたの?」

「これを――」

 ダレスがポケットから取り出したのは、青色の指輪。そう、これは以前ダレスが湖の底から探し出した石を加工した物。村の者に加工を頼んだのだが思った以上に時間が掛かってしまい、今に至る。ダレスはフィーナの身体を起こし彼女の手を取ると、中指に指輪を嵌めた。

「……綺麗」

「もっといい物を渡せれば……」

「そんなことはないわ。こんなに立派な物を……ダレスの気持ちが嬉しい。本当に、有難う」

 指輪を貰えたことが余程嬉しかったのだろう、フィーナはダレスに突撃するように飛び付く。しかし、その反動でフィーナが寝台に押し倒すかたちになってしまい、互いを動揺させる。特に我慢していたダレスにとって今の行動は精神的に悪く、気まずい表情を浮かべていた。

 ダレスの表情からフィーナは、彼の本能を刺激してしまったことに気付く。このまま雰囲気に流され昨晩と同等のことをしてもいいと思うが、あの時はダレスを逃がしたくないと思い勇気を出して口にした。だが、今は明確に口に出すことはできず、顔が紅潮していく。