「もっと早く、気付いていれば……」
「女神は、何度か人間に合図を送っていた。ルキアがお前を産んだことが、決定的だった……」
「しかし、その後に……」
「再び巫女が誕生したのは、女神がそれでもあいつ等を信じようとしたからか。だが、もう……」
「……遅い」
何度も女神の御心を裏切るような行為を行ったことにより、完全に見捨てる方向になった。血の力が失われ、女神のご威光も完全に消え去ってしまう。これに関して、レグナスはこれでいいという。強大な血の力があったからこそ、種族同士のバランスを崩してしまった。
この先、どのように変わりどのように進んでいくのかわからないが、レグナスは最悪な結末になっても構わないと、冷たい言葉を言い放つ。いくら妻が人間だったとはいえ、最後まで付き合う義理はない。だからフィル王子が説得に失敗しても頼って来るなと、ダレスを突き放す。
「……わかっている。俺は神殿を離れて、この村で暮らし続ける。フィーナと共に、ずっと……」
言葉では明確に示すことはしなかったが「それでいい」と言いたいのだろう、軽く頷く。父親の反応を一瞥すると、ダレスはいつ神殿で行くのか尋ねる。このようなことは早い方がいいが、明日というわけにはいかない。レグナスが決めた日にちは明後日――その日に、全てが決着する。
「フィーナに、言っておく」
「それがいい」
「……有難う」
「礼はいい」
「だけど、やっぱり……」
「そのように言うのなら、大事な者を守れ。そして、二度と手放すようなことはするな。何事も、二度目はない。そう思わなければ、愛し合う資格はない。それを忘れずに生きるんだ」
「実感が籠っている」
「あのようなことがあれば、そのように思ってしまう。だから、お前達には幸せになって欲しく……」
あのまま神殿で暮らし続け、一生独身を貫くと考えていた。その息子が特定の人物を愛し、一緒になりたいと願う。だからフィーナと結ばれ幸せになって欲しいと思い、あれこれと手を貸す。それを知っているからこそ、ダレスはフィーナと共に村で暮らす道を選択した。


