新緑の癒し手


 食事後、二人は再び村の中を探索していく。どのような作物を作り、どのような方法で酪農をしているのか。そして人間と交流を持っているので、どのような物を作成し売買しているのか。外見や暮らしている建物に違いが見られるが、作り出している物に共通点が多い。

「機織は?」

「確か、やっている」

「綺麗なのかしら」

「気になる?」

「うん。参考にできれば……」

「勉強熱心だ」

「以前は苦手だったけど、ダレスが色々と教えてくれて……今は、勉強をするのが楽しいわ」

 機織をしているからこそ、フィーナは獣人が作り出す織物に興味を持つ。一番の理由は、色合いと絵柄。それを参考にしたいと考えているのか、彼等が作成する織物を見てみたいと言い出す。しかし竜の村ではないので勝手に機織の仕事場に立ち入るわけにはいかず、許可を取らないといけない。

 ダレスの話しにフィーナは、流石にそこまでして貰うわけにはいかないと断る。本心では見学したい気持ちがあったが、別の村に連れて来て貰っただけで十分だった。断るフィーナにダレスは「本当にいいのか?」と尋ね、自分に気を使っているのなら止めて欲しいと伝える。

 それに許可を取りに行くのは面倒ではないと、ダレスはフィーナを連れ村長のもとへ行き見学の許可を貰う。素早く行動的で自分の願いを叶えてくれるダレスに、フィーナは感謝する。それに対しダレスは「別にいいよ」と、いつもと変わらない素っ気無い言葉を返す。

 しかし彼等はフィーナと同じ人間ではないので、踏み込んではいけないギリギリの位置を見極めないといけない。表面上は好意的に見えて内心は別のモノを抱いている場合も多々あるので、その点に注意した方がいいとダレスは忠告し、フィーナに織物の見学をさせる。

 ダレスの忠告のお陰で、特にトラブルが発生することなく見学を終了することができた。獣人の作り出す織物はフィーナにいい刺激を与え、新しい絵柄の構図を思い付くことができたという。村に帰ったら早速紙に表してみたいと、仕事に対しての高い情熱を見せつけた。

 向上心の高いフィーナに、ダレスは頷いて返す。彼自身、彼女がどのような絵柄の織物を織るのか楽しみだった。暫く村の中を見学していた二人は、日が落ちる前に竜の村に戻ることにする。素敵な体験といい思い出を有難う――と、フィーナはダレスに向かって囁く。