ダレスの考えにヘルバは「なるほど」と言い頷くと、いい勉強になるのではないかと返す。人間社会という閉鎖した空間の外に飛び出たのだから、広い世界を見学した方がいい。フィーナの友としてヘルバは、彼女に多方面から物事を見ることができる目を養って欲しかった。
「楽しかったです」
「それは良かった」
友との会話を終え、ダレスは村の見学を終えたフィーナを出迎える。珍しい物を多く自身の目で見ることができたのだろう、嬉しそうに微笑んでいる。その表情からいい体験と経験ができたのだろうと判断すると、一言「行こうか」と言い、出発することを彼女に伝える。
レグナスの息子が来ているということで、本来であったら族長が顔を出さないといけないのだが、フィーナの存在が引っ掛かるのだろう、結局顔を見せることはなかった。そのことでヘルバは謝ってくるが、理由が理由なので仕方ない。それどころか普通に受け入れてくれたことが、有難かった。
いつか。
本当に、交流が持てたらいい。
それが、互いに交わした言葉。真の意味で受け入れられるようになったら、顔を出してくれるだろう。それがいつになるかはわからないが、そうなってくれることを願いつつダレスとフィーナは村を後にする。そして次に彼等が向かったのは、約束通り獣人の村であった。
二人が村に到着した時、彼等の反応は千差万別といっていい。だからといって好戦的や排除的というわけではなく、珍しい客人の登場に有翼人の村と違って歓迎的といってよかった。フィーナは獣人を見た経験がないので、見るもの全てに惹き付けられる。一方、獣人もフィーナを凝視する。
獣人はダレスと同じく人間の外見をしているが、頭部からは獣の耳が生え臀部からはふさふさとしている尻尾が揺れている。彼等は竜族と同等の術を使い化身しているが、本来の姿は四肢で大地を走り回る獣。唯一人間と交流を持つ種族で、性格は全体的にのんびりとしている。
ダレスはフィーナのことを話し村の中を見学したいと頼むが、突然の頼みに即答は避けられる。それでも族長に直接聞きに行けばすんなりと了承を得ることができ、フィーナは獣人の村を見学していく。これも人間と交流を持っているからだろう、ちょっと意外だった。


