新緑の癒し手


「……そうか」

「日々、寝不足」

「蛇の生殺しというか、竜の生殺しか」

 まさにその言葉が適切だろう、フィーナ共に寝る毎日は辛い。これが、彼女の傷を癒すのに繋がる――と言い聞かせ耐えているが、流石に限界も近い。感情を表面に出さないとはいえ、ダレスは健康的な男。好意を抱いているフィーナに抱きつかれて、平然としてはいられない。

「彼女の自覚は?」

「ない。というか、恋愛経験がないと聞く……って、何で笑っている? 別に、おかしなことは言っていない」

「お前が、恋愛について語るとは……昔では、考えられなかった。まかさ、これほど変化するとは……」

「いけないか?」

「そういうことはない。ただ、我慢し続けていると身体に悪い。いつか、身体を壊すのでは……」

「そうならないように努力する」

「こればかりは、努力ではどうにもならないような……しかし本当に、お前という奴は……」

 いつか溜まりに溜まったモノが限界を超え、爆発してしまうのではないかとヘルバは予期する。何せヘルバが言っていたように、いままで特定の誰かに恋愛感情を抱いていなかった。その中でダレスはフィーナに好意を抱きながらも彼女の心を思って、何も仕出かさない。

 自分ならこれほど長い日数が我慢できないだろうと、ヘルバは心の中で呟く。我慢強いダレスだからこそ可能であって、普通の者なら感情が爆発している。特に欲望中心で生きているセインだったら、二日も持たないだろう。それだけ欲望に抗うのは難しく、強い精神力が必要だ。

 優しすぎる。

 そう、ヘルバは友人を評価する。

 それがダレスのいい面だが、いかんせん今回は悪い面で出てしまっている。勿論、そのようにするべき理由も理解できなくもないが、殆どの場合ダレスが貧乏籤を引いてしまっている。何かいい言葉を――と考えるが、弁論に長けているヘルバでも適切な言葉が見付からない。

 口を開いたヘルバが発したのは、これからどうするかというもの。その質問にダレスは有翼人の村の他に、獣人の村に訪ねてみようと考えていると話す。あの村の一部の者は人間と交流しているので、フィーナがいきなり訪ねても攻撃を仕掛けてくることはないだろうという。