新緑の癒し手


 また何かトラブルが発生した時、自分がフィーナを守ればいいとダレスは考えている。それについて敢えて言葉にしなかったが、雰囲気で相手に伝える。また、最近身体の調子がいい。例の期日が過ぎ去ったからというのも関係しているが、殆んど血の影響を感じない。

 神殿で生活していた頃と違い身体が軽く、今の方が実に過ごし易かった。フィーナと共に村の外へ出掛けた時、血の影響が出てしまえば彼女に多大なる迷惑を掛けてしまう。しかし身体への影響が安定していれば彼女と安心して出掛けられ、広い世界を堪能して貰える。

 何故?

 勿論、この状態に強い違和感を覚える。

 竜の血に影響が出たのか、それとも巫女の血の方が悪いのか。巫女の血に影響が出ているというのなら、フィーナの方にも影響が出ていいもの。だが、彼女は至って普通にしているので、自分の身体だけに何か異常が出ているのではないかとダレスは考えるが、詳細は不明。

 この状況は悪い面よりいい面の方が大きいので、ダレスはこれ以上自身の身体の異常について考えるのは止めることにする。今は、フィーナと交わした約束を優先しないといけない。神殿にいた頃は神官達が口煩く言ってきたので、二人で自由に出掛けることができなかった。

「明日、早く出る」

「朝方?」

「日帰りを予定しているから」

「お弁当、用意しないと」

「それはいい。向こうで、何か食わして貰う」

「いいの?」

「ヘルバに頼めば、何か用意してくれるだろう。それに荷物を持っての飛行は、結構大変だ」

「落す」

「そういうこと」

 ダレスの話しに、フィーナは納得したように頷く。竜の村に来る時も、強風の中を移動してきた。あの時はダレスが身体を抱き締めていてくれたので問題なかったが、彼の背に乗った場合、ダレスが助けてくれるわけではない。そうなると、荷物の落下は免れないだろう。

 また、弁当を作って持って行くより、人間以外の種族が作った料理を食べるのもいい経験になると話す。フィーナに多くの知識を得て欲しいという心遣いであったが、ダレスは何を思ったのか「フィーナの料理が不味いと言っているわけではない」と言い、懸命に取り繕う。