「久し振りに、ヘルバに会いに。その他は……獣人には、会ったことがある? ないなら行こう」
「いいの?」
「いい気分転換になる」
「ダレスと一緒なら……」
「じゃあ、決まり」
「どうやって行くの?」
「竜に戻る」
有翼人や獣人が暮らしている村へ徒歩で行けなくもないが、いかんせん時間が掛かってしまう。手っ取り早く村に訪ねるには空から向かうのが一番よく、それに此方の方が安全に行ける。ダレスと一緒なら空の旅は怖くないが、どのようにして一緒に行くというのか――
その点を尋ねると、ダレスは二つの方法を彼女に提示する。ひとつは俗に言うお姫様抱っこの状態で行くのと、もうひとつは竜の姿に戻った自分の背中に乗るというもの。安全性を考えれば後者が一番いいが、これに関してはフィーナの意見を尊重すると言い選択させる。
フィーナは安全性を優先し後者を選択するが、背に乗るということは暴風を身体に浴びる。勿論スカートを穿くわけにはいかないので、それ相応の服を用意しないといけない。幸い、フィーナはカボチャパンツと呼ばれているズボンを持っているので、これを穿けば問題ない。
「いつ行くの?」
「明日」
「お仕事……」
「そのことは、俺が言っておく。フィーナは真面目に仕事をしているから、駄目とは言われないよ」
「有難う」
しかし大事なことを思い出したのだろう、フィーナの表情が曇っていく。竜を含め他の種族は人間を嫌っているのに、自分が行って大丈夫なのか。行きたいと言ったが急に不安感が強まったのだろう、一緒に行って平気なのか尋ねる。それについてダレスは、有翼人に関しては平気だと話す。
「ヘルバさん?」
「族長に行っておくと言っていた」
事前に有翼人の族長にフィーナのことを話しておけば、大事に発展することはないだろう。彼等は人間を嫌っているとはいえ、身に降り掛かった不幸を嘲笑うような愚かな種族ではない。それにヘルバがその点を踏まえて話しておいてくれれば、邪険に扱われないと思われる。


