最善の方法は――
ナーバルは、思考を働かせる。
しかし、なかなかいい内容が思い付かない。そしてダレスの問題も厄介だが、息子の立ち振る舞いもどうにかしないといけない。まずは品行方正に振る舞い、真面目に神官の勉強を行い早く一人前の神官になるように言うが、命令の数々にセインはげんなりとなってしまう。
そもそも、彼の中に「真面目」という言葉は無い。できるものなら毎日のように娼婦相手に楽しみたいのだが、父親の命令に逆らえば借金の肩代わりが無効になってしまうので反論できない。
「何だ、その表情は?」
娼婦を相手にすることを禁止され、更に規則正しい生活を求められる。今まで自由気儘に生きていたセインにとって、これ以上の不自由でストレスが蓄積していく生き方はなかった。
巫女の夫となり、絶大な権力を得る――ということで当初は乗り気であったが、父親から次々と課される内容にセインは頭痛を覚え、巫女の夫になることに嫌気が差す。やはりセインにとって娼婦と宜しくやることは生活の中の重要な位置を占め、奪われることは苦痛以外ない。
ふと、セインは自分が置かれている立場からいい内容を思い付く。巫女フィーナは未来の妻となる人物なので、その相手なら押し倒していいのではないかと、恐る恐る父親に尋ねた。
そのように発した後、この質問に対し雷が落下するのではないかと危惧したが、返ってきた父親の言葉は意外なもの。それは「相手が巫女なら押し倒していい」という耳を疑うものだった。
「いいのですか?」
「無理矢理でなければな」
「意味がわかりません」
「相思相愛になればいいということだ」
「それは……ちょっと……」
父親との約束の中に「品行方正」という言葉が含まれていたことを、セインは完全に忘れていた。そもそも巫女フィーナはセインの未来の妻というのを決めているのはナーバルだけで、他の者達はこの話を知らない。だから、娼婦を相手にするように迫ってはいけない。
要は、肉体関係を結ぶ時に両者の間に「愛情」が存在しているかどうかというもの。ナーバルは「既成事実」を望んでいるが、同時に無理矢理押し倒したことにより生じる民からの反応を恐れた。だから、両者の間に「愛情」が存在している中での肉体関係に拘ったのだ。


