新緑の癒し手


 勿論、躊躇いが強い。

 しかし――

 他種族との関係修復を模索し、民の行く末を心配している人物。このような人物に話せば偏見を持たずに、協力してくれるのではないか。フィーナは意を決するように、ダレスが抱えている血の呪縛について話し、現在その解決方法をヘルバ共々探していると話し出す。

 予想外――いや、フィル王子にとっては衝撃的そのものといっていい内容に、なかなか返す言葉が見付からない。同時に、ダレスが普段からどうして無表情でいる理由を知り、フィーナ同様自分は一方的に友人関係を築いているわけではないとわかり、安堵の表情を作る。

「ダレスは、自分の姿を恐れていました。だから、私に見られることを最初は拒絶していました」

「別の姿に変わってしまう姿を他人に見られたくないという気持ち、わからないわけではない」

 その姿を見られた時、今まで築き上げた関係が崩れるのではないか。また、偏見が生まれるのではないか。あらゆる悪い面を想像し、自分自身を追い詰めていく。それに対し「気にしない」と言っても、所詮は他人事。心が篭っていない気休めの言葉ほど、傷付けるものはない。

 正直、フィル王子もダレスのその姿を見た時、どのように言葉を掛けていいかわからない。それ以前に、彼がどのような姿をしているのかフィーナの話から想像することができなかった。だが、唯一わかっているのは、このようなことから差別が生まれるということだ。

「協力しよう」

「本当ですか?」

「ダレスは、私の友だ。それに、このようなことしか償いができない。私は、愚かだった……」

「どういう意味ですか?」

「剣の対決だ」

 フィル王子はあのような場所で行わず、別の場所で行えばよかったと後悔していた。今思えば、ダレスは自分が置かれている立場を優先し、本来の力を出さずに勝利を譲るというのはわかっていた。それだというのにダレスに剣の対決を持ちかけ、多くの血を流させた。

 一方的に負け続けるのが悔しい。いつか、彼に勝ちたい。それらの思いが入り混じり、対決を提案した。その後、ダレスが行なった行動を怒ったが、自分の方が幼かったのだと反省する。だから怪我を負わせてしまった彼に対して償いというかたちで、協力するという。