新緑の癒し手


 愛した者との間に儲けた子供を残し、妻の後を追いかけるのか。それこそ自分勝手であり、残された子供の心情は計り知れない。また現在のダレス同様に好奇の目に晒され、酷い仕打ちを受けるだろう。それで本当にいいのか、ヘルバは死を望む親友を止めようと説得する。

「お前の親父さんは、生きている。それは何故だ。ダレス、お前が心配だからじゃないのか?」

 もっと自分を大事にし、残された者は精一杯生き続ければいい。柄にもないことを言いヘルバは途中で苦笑するが、親友を本当に心配しているからこそ厳しい言葉を言い続ける。また、自分の後を負い掛けることを彼女が望むのだろうか。いや、彼女は愛する者の死は望まない。

「その時は、全面戦争でも仕掛ければいい」

「それは大事になるぞ」

「いいんじゃないか。二度、同じことをすれば竜族が黙ってはいない。いや、他の種族も……」

「痛い目を見ないと、わからない……か」

「そういうことだ。だけど、そうならないことを願うよ。お前は、頭がいい。一時的な感情に流されるな」

 どうすることが、結果的にいい未来に結びつくのか。今の段階では、誰にもわからない。だけど最悪な結末を予想し覚悟を決めるより、いい未来を夢見て突き進んだ方が何倍もいい。ヘルバのその意見にダレスは頷き返すと、とんでもないことを頼んでしまったことを詫びた。

「詫びる気があるのなら、そのような頼みごとをするな。頼まれた身にもなってみろ? 結構、きついぞ」

「……悪い」

「もしそうなった時、別の意味で助けてやる」

「有難う。本当に俺は、いい友を持った。それだというのに、俺は……共に殺害を強要した」

「ああ、お前にとんでもないことを頼まれたよ。こっちは、悪い友を持った嘆きたいものだ」

「うっ!」

「冗談」

「おい!」

 ダレスの反論が面白かったのか、ヘルバは身体を揺らしながらクスクスと笑い出す。だが、すぐに笑いを止めると自分一人で抱え込まず自分に相談してくれたことが嬉しかったと話す。そしてダレスとフィーナが結ばれる結末が訪れることを願っていると、彼等の仲を認めた。