新緑の癒し手


「あ、あの……」

「もうちょっと待ってね」

「今、いい服を探すわ」

「私は、何でも……」

「駄目よ。折角なのだから、可愛い服を着ないと。普段は、可愛らしい服なんて着せて貰わないのでしょ?」

「……はい」

「なら、尚更よ」

「大丈夫。心配しないで」」

 自分達に全てを任せればいいと言いたいのか、複数の娼婦が片目を瞑って見せる。彼女達の行動は大変有難いものだが、同時に自分にあれこれとやってくれる理由にダレスが関係していることが引っ掛かる。

 ダレスと娼婦が知り合いということはその間に何かがあると考えるのが普通で、フィーナはこの中の誰かを抱いているのではないかという不安感に苛まれる。勿論、彼女でもないのにダレスのプライベートを縛り付ける権利は持ち合わせていないが、娼婦の存在に心がざわめく。

「その……ダレスとお知り合いなのですか? 皆様方は、彼を知っていて協力してくれると……」

「知り合い? まあ、知り合いといえば知り合いよね。時々、用事で娼館にやって来るもの」

「それって……」

 口許を真一文字に結び、真剣な目付きでダレスと娼婦との関係を聞こうとしているフィーナの姿に、彼女達は一目で彼女がダレスに好意を抱いていることを見抜くと、優しい声音で彼との関係を否定した。

 ダレスは娼婦を抱く為に娼館を訪れているわけではなく、神官の命令を受け来ていると話す。その理由がナーバルの息子のセインの連れ戻しが関係しており、彼に疚しいことはひとつもない。そして彼女達は、ダレスは本当に愛した女性しか手を出さない人物と評価を下す。

 彼女達の説明に納得したのか、フィーナは安堵の表情を作る。だが、同時に見習い神官セインの裏の一面を彼女達から聞かされる。やはり彼は見習い神官の地位に相応しい人物ではなく、自分の欲に忠実に生きている俗世間の――それも、真っ黒に染まった人間である。

 勿論、感情を持つ人間なので多少の欲は持ち合わせているが、彼が持つ欲の容量は神官として有り得ない量。そして相手を罵る言い方をすれば、年中欲中心に物事を考えているといっていい。また、その尻拭いをダレスが押し付けられていると知り、フィーナの心が締め付けられる。