嘆いているだけでは、物事をいい方向に持っていくことはできない。それを理解しているヘルバはどうすればいい方向に転換できるのか思考を働かせるが、人間が他の者達を見下している状態では、なかなかいい内容が思い付かない。また、改善する兆しも見受けられない。
だが、今日ヘルバにとって最高の出来事が舞い込む。それはダレスやフィーナの味方になってくれる人物が身近にいたということと、彼女達が神官のやり方に嫌悪感を抱いていたということだ。
これにより神殿内で何か都合が悪いことが起こった時、フィーナは娼館に逃げ込めば彼女達が助けてくれる。だからヘルバは再び身に危機が迫った時、彼女だけではなくダレスも共に匿ってやって欲しいと頼む。彼の頼みにサニアは頷き返すと、快く了承するのだった。
「で、これはどう?」
「ちょっと派手じゃない」
「そうかしら?」
「もっと、落ち着いた服はないの?」
「これが一番落ち着いた服よ」
「そうなの? 派手好きね」
「あら、貴女だって」
「喧嘩しないの」
「そうよ。協力しないと」
娼婦達が、フィーナの周囲を取り囲むかたちで彼女に着せる服を選んでいた。しかしなかなかいい服が見付からないのか、床に散らばる服の数が増えていく。フィーナは忙しなく動く彼女達を視線で追いつつ、気まずい表情を浮かべながらちょこんっと椅子に腰掛けていた。
「あっ! いい服があったわ」
「あら、可愛いわね」
「これなら、似合うんじゃないかしら」
その服をフィーナの目の前で広げ、彼女に似合うかどうか確かめる。しかしフィーナが持つ雰囲気と服のセンスがいまいちだったらしく、周囲で眺めていた娼婦達はいい表情ではない。
それどころか選んだ服に対しての批評が開始され、もっと落ち着いた服の方が似合うのではないかと熱い討論がはじまる。沈黙の中で彼女達の行動を眺めていたフィーナは圧倒され何も言えない状況になってしまうが、勇気を出し思い切って彼女達に話し掛けることにした。


