新緑の癒し手


「彼の味方だから」

「彼?」

 引っ掛かる言い方に、ヘルバは聞き返す。すると女は愁いを帯びた表情を浮かべると、彼の正体がダレスだということを告げる。そして自分は聖都の場末に存在する娼館で働いている娼婦だと説明し、日頃ダレスに酷い仕打ちをしている神官が気に入らないから味方すると話す。

 それに自分は、癒しの巫女の血を過剰に求めることはしていない。それどころか「娼婦」という職業を心の底から毛嫌いしている神官が、自分達に血を分け与えてくれることは滅多にないという。

 自分の肉体を売り金を稼ぐ、厭らしい存在。神官達は、そう娼婦を表現している。しかし彼女達にもプライドがあり、自分の仕事に誇りを持っている。それを唯一認め共感してくれたのがダレスであるので、娼婦の大半――いや、全員が彼の味方としていると彼等に告げる。

「そう……ですか」

「だから、貴女の味方をしてあげる。で、どうしたいの? この場所にいたら、見付かってしまうわ」

「外へ行きたいです」

「外って聖都の外?」

「はい」

「わかったわ。でも、その姿では目立ってしまう。特に貴女のその髪……なんとかしないといけないわ」

「一体、どのように……」

「大丈夫、私に任せて」

 何かいい方法があるというのか、女は自分について来て欲しいという。そして女が向かった先というのは、仕事場である聖都の場末にある娼館。はじめて訪れた娼館にフィーナは緊張を隠し切れず、入り口の前で立ち尽くしてしまう。ヘルバもフィーナと同じく苦手意識があるのか、何処か落ち着かない。

「どうしたの?」

「いやー、人間の娼館って……」

「別に、相手をして欲しいって思ってはいないわよ。これでも、結構に人気だったりするの」

「……そうですか」

 言葉ではそのようなことは苦手だということを言っているが、内心では遊んでくれるのではないかと期待していたのか、ヘルバは女から視線を逸らす。年齢の割には初々しすぎるヘルバの態度に女は苦笑すると、娼館の中へと彼等を案内する。そして大声で、自分達の主人を呼ぶ。