人間以外の種族は、個々の文明と特徴を受け入れ交流を深めている。それだというのに人間は自分が作った文明文化が世界の常識と勘違いし、それに当て嵌まらない者達を批判していく。また決定的といっていいのが癒しの巫女の血で、これにより人間は増徴し続ける。
どちらが愚かか。
真の意味で頭がいい種族というのなら他の違う面を受け入れ、全員が自分と同じではないと認める。それができない者達が「自分が一番偉い」と言っているのだから、溜息しか漏れない。
「で、知りたいのか?」
「お前から聞く筋合いはない」
「おかしいな。さっきは、何処に行ったのか聞いていた。ああ、そうか人間は命令が好きか」
権力に固執している神官達は、常に自分達が有利の立場にいないと彼等は気分が悪いらしい。発する全ての言葉に力があると思っているので、逆に問い質されることを何よりも嫌う。だから今のようにヘルバが有利に立つ発言をした時、彼等の表情が歪み睨み付けてくる。
付き合っていられない。それが、ヘルバの本音であり感想であった。自分中心に物事を考えている奴等の中でダレスが生活していることに、彼は尊敬の念を抱く。勿論、生活していることには理由が存在するのだが、あれだけ好き勝手にやられると精神面が病み途中で逃げ出したくなってしまう。
それでも逃げ出さずに留まっていられるのは、精神面が強いといっていい。いや、今はフィーナが側にいるからか。互いの間に存在する越えられない、超えてはいけない壁にヘルバは世の無常を思う。
その時、ヘルバの鼻腔を甘い匂いが擽る。これはフィーナが作成している焼き菓子が焼ける匂いで、砂糖をたっぷり使用して生地を作成したのか、どちらかといえば甘ったるい匂い。
「何を作っている」
「焼き菓子」
現在フィーナが作っている物の名前を聞いた瞬間、ヘルバは激昂する。周囲にいる神官同様に火を使った料理を作っていることが引っ掛かったらしく、すぐに焼き菓子を作るのを止めるように命令を下すも、先程と同じくヘルバがナーバルの言葉を受け入れることはない。
しかしナーバルにしてみれば、ヘルバが受け入れようが受け入れまいが関係ない。フィーナは神殿の所有物であって、自分が管理しなければいけないと考えている。だから彼は他の神官達と違い強硬手段に及ぼうとするが、瞬時にヘルバが立ち塞がり厨房への進入を拒む。


