彼等を言葉で甚振っている最中フィーナから「やり過ぎではないか」という指摘があったが、図に乗っている彼等が反省するにはこれくらいしてやらないといけないと指摘を受け流す。それよりも、待っているのが辛いので早くダレスに手渡す焼き菓子を作って欲しいと話す。
ヘルバから返された指摘にフィーナは今、日頃の感謝の気持ちを込めせっせと焼き菓子作りに励んでいる。それでもヘルバと神官達のやり取りが気になるのだろう、時折彼等の方向に視線を向け様子を窺う。
「巫女は、血を与えればいいだけか」
「何?」
「感情は無視か」
「血で多くが救われる」
「彼女の救いはどうなる」
「血を貰い、救われた者達からの感謝の言葉がある。それで巫女様も満足なされているだろう」
「詭弁だ」
感謝の言葉で満足するというのなら、何回でも言ってやればいい。だが、現に感謝の言葉でフィーナの心が満足することはなく、それどころか精神面をすり減らし日々を過ごしている。また、神官に対して嫌悪感まで抱きだしているのだから、相当の苦痛を味わっているのは間違いない。
神殿の外へ出ることを嫌がるというのなら、せめて神殿内だけでも自由にさせてやればいい。それさえも拒むというのには何か特別な理由があるのかと尋ねるが、彼等は口をつむぐ。
「どうせ、しきたりか何かって言うんだろう。そんなしきたりなんて、クソくらいだ。女の子を神殿内に閉じ込め、血を絞り取る。嫌だね、人間のやることは。こういうのを野蛮って言うんだ」
「ぶ、無礼だぞ」
「じゃあ、崇めている女神は何と言っているんだ。今、言っている言葉はお前達の意見だろう?」
女神に仕えているというのなら、女神の信託を受けとってもいいものだ。また、ダレスの話で代々神官を輩出しているそれはそれは素晴らしい家系があることを知っているヘルバは、その人物が信託を一回くらいは受けているのではないかと質問するも、再び沈黙が生じる。
わかり易い彼等の態度に、ヘルバは女神の信託が存在していないことを知る。そもそも女神は、人間に信託を与えているのだろうか。与えているとしたら人間は賢く生き他の種族を上手くやっているだろうが、現実は卑しくて愚か。また血を独占し、他の種族を見下す。


