臆病者のシーソーゲーム(仮)




大人の男用の靴。

靴磨きのブラシやワックス。

玄関だけでも、

家にある物がここには見当たらない。




それが幼い悠にどんな寂しさを与えたのか。


無くなって…目線で『昨日まであったもの』を探した悠はどんな目をしていただろうか。





私は噛み締めるように悠の後を追った。




私が近くへ行けば、ドアを開けて自分の部屋へ入って行く悠。



中学生の…しかも友人同士の私達には『レディーファースト』なんて無い。


でも、彼女に尽くす彼だから…これが彼女だったら…


仲良く手を繋いで隣を歩いて、
歩く速さも合わせてくれて、
気を遣いながら先に部屋へ入れてくれて、

そんな特別扱いをしたのかな…なんてちょっと思った。


そんな扱いをされたいのかと聞かれれば『NO』だが、

なんだか隣を歩いて居るのに、
同じ家に居るのに、
少しの距離に意識してしまうのだ。




それは、私が『思春期の女子』だからかもしれない。





自分でも、自分が何を望んでいるのかわからないモヤモヤ。

悠の『大切な友達』で良いじゃない。
自分で傍に居ると決めたじゃない。


それなのに、私は彼の彼女だった人たちと自分を比べてしまう。