その言葉は、
彼が話す合図と…
私が彼の話を聞く合図…
彼は、私の言葉にクシャっと顔を歪めて、
『泣きたいのに堪える』
彼の今の顔にぴったりの言葉。
グッと閉じた唇に、
一度呑み込んだ唾が喉仏を通ると、
震える唇を隠すように口を開く。
「俺の家…親が仲良く無くてさ、
父親が小6の時出て行って…すっげー見捨てられた感があったんだ。
『ああお父さんは俺が居なくてもどうって事ないんだ』って。
それで母親は、昼も夜も忙しく働き始めて…
家で1人で居る事が多くなった。
それが始まり」
小6の少年には血の繋がった父親が家を出て行って、見捨てられた気がして寂しいだろうに、
それが始まりなんて…

