ゆらゆらと通り道を照らす提灯に、

道順を示すように並ぶ屋台。

その間を楽しそうに歩く私服や浴衣姿の人間。

焼きそばやわたあめ、チョコバナナ…

沢山の食べ物の匂いが充満する。





「あっ!美希!堀川!」


私服姿の堀川と水色の浴衣姿の美希が、神社前の石段に並んでいるのを見つけ、駆け足で寄る。



「あれ?椿は浴衣じゃないんだ?」


直ぐに私を見て言った美希に私は首を振る。


「歩きづらいし、自分で着れないし、靴擦れするし、私には浴衣無理」


美希は少し残念そうにしていたが、

堀川の『じゃあ屋台回ろーぜ』と言う声に、
2人して意識を屋台に移す。








長いと思っていた夏休みはあっという間に過ぎて、


今日は夏休み前から予定していた地元のお祭りの日だ。



『もしかしたらそれまでに彼女出来るかもしれないしぃ~』

なんて言っていた堀川だったが、

ご覧の通り彼女が出来る事は無く、
予定通り私たちと回る事になった。