木崎センパイのお父さんと目が合う様に、不自然なくらいに木崎センパイのお父さんに視線を飛ばすと、容易に目を合わせる事が出来た。
小さく息を吸い込み、決死のモノマネをすべく、喉を軽く摩った。
「初めまして。 早川莉子です。 勉強教えて頂いた上に、晩ゴハンまでお邪魔してスミマセン」
自分で自分を賞讃してやりたいくらいに、今の母マネは似ていた。
そんなワタシの声に、木崎センパイのお父さんの右眉が『ピクッ』と動いた。
木崎センパイのお父さんは、多分気が付いただろう。
一瞬真顔になった木崎センパイのお父さんは、すぐに笑顔を作ってワタシに微笑むと、木崎センパイの方に目を向けた。
その視線に気付いた木崎センパイは、木崎センパイのお父さんを一瞥すると、無言でシチューを口に運んだ。
木崎センパイのお父さんが、ワタシに視線を戻す。
「こんなバカ息子じゃなくて、もっと頭の良いコに教えてもらった方が良いんじゃないの??」
木崎センパイのお父さんは、口角は上がっているのに、目が全く笑っていなかった。
・・・怖い。
木崎センパイのお父さんは、お母さんと別れるどころか、ワタシを除外しようとしている。 だけど、
「木崎センパイ、凄く頭良いじゃないですか。 ワタシは木崎センパイに教えてほしいです。 ・・・迷惑じゃなければ」
まず、木崎センパイはバカではない。 テストで全教科90点以上取ってたし。
それに、シチューを作りながら分かり易い教え方を考えると言ってくれた。
ワタシは、木崎センパイじゃないと嫌だ。



