憎悪と、懺悔と、恋慕。

 
 「体育です!!」

 笑顔でハキハキ答えると、

 「そーゆーお決まりのボケはいいから。 テストに体育ないでしょうが」

 ボケたつもりもなく正直に答えたのに、木崎センパイに呆れた様に笑われた。

 得意教科・・・。 沙希同様、得意教科など何も無い。

 「体育と音楽以外は、全部満遍なく不得意です」

 ワタシの良い所は、バカを包み隠さないところだと自負しております。

 「・・・何、胸張って言い切ってんの」

 木崎センパイ、失笑。

 「・・・早川さんって、頭・・・「弱めです」

 木崎センパイの言葉に被せてみたけれど、『早川さんって、頭悪いよね??』って言いたかったんだよね、このヒト。

 大概失礼な質問だ。

 ・・・にも関わらず、

 「薄々気付いてた。 そっかそっか。 全教科教えないとなんだ・・・」

 『まじかよ』くらいのテンションで苦笑う、木崎センパイ。

 てゆーか、ワタシがバカだって事に気付いてたくせに、再確認しようとしてたんかい!! コイツ!!

 「・・・やっぱり、バカの相手するのは嫌ですよね」

 木崎センパイが若干引いてしまっている為、こっちも恐縮してしまう。

 「諦めるな!! 諦めたら、そこで試合終了だぞ!!」

 木崎センパイが、そんなワタシの背中を『パシン』と叩いた。

 ・・・え?? どういう事??