憎悪と、懺悔と、恋慕。

 
 笑いながら木崎センパイの背中を見送り、ワタシは余裕で席に戻った。

 「沙希、沙希!!」

 「うん??」

 自分の席に座り、沙希の肩を『ポンポン』と叩くと、沙希がクルっと振り向いた。

 「じゃん!! 木崎センパイが1年の時の試験プリ貸してくれた!!」

 「おぉ!!」

 沙希に試験プリを翳すと、沙希が喜び勇んで喰いついた。

 『類は友を呼ぶ』とはこの事で、沙希とワタシは頭のレベルがほぼ一緒だ。

 イヤ、嘘吐いた。 厳密に言うと、沙希の方がちょい頭が良い。 とは言っても、どんぐりの背比べ。 2人共、自称『ミス・ボーダーライン』 平均点付近を彷徨う女たちである。 言い換えれば、一歩踏み外すと、あっさり平均以下になってしまう、危うい女子なのである。