憎悪と、懺悔と、恋慕。

 

 すき焼きを食べ終え、木崎センパイのお母さんにお礼を言って玄関を出た。

 木崎センパイのお母さんに『また来てねー』と言われながら手を振られたけれど、無言で笑顔を作り、手を振り返した。

 また、来たくない。

 そして今日も、木崎センパイが駅まで送ってくれるらしい。

 あともう少し。

 駅に着いたら、この長くてしんどい時間も終わる。

 あとちょっと、木崎センパイとの気まずい空気に耐えれば、開放される。