憎悪と、懺悔と、恋慕。

 

 モヤモヤした気持ちのまま食べるすき焼きは、それでも超絶美味かった。

 お肉は溶ける程柔らかくて、味付けも抜群だった。

 多分、木崎センパイは相当料理が上手なんだと思う。

 でも、やっぱりお母さんの事が気になって、楽しく食べる事は出来なかった。

 お肉だって、いつも食べてる安くて筋ばったヤツの方が、何だかんだしっくりくる。

 あーあ。 ワタシ、もう少し顔とスタイルが良かったら、女優になれてたな。

 だって、『美味しいですー。 楽しいですー』などと言いながら作り笑いをするワタシにまんまと騙されて、『ワタシも莉子ちゃんとゴハン食べるの楽しいわー』なんて、木崎センパイのお母さんが笑ってるから。

 あぁ、まじでしんどい。 苦しい。