憎悪と、懺悔と、恋慕。

 

 「なんで『ありがとう。 気持ちだけもらっとくね』的な言い方が出来ないかなー、このコは。 だから彼女出来ないのよ。 てゆーか、すき焼きくらいワタシが作るから。 湊は勉強したら?? そんなんじゃ医大落ちるわよ。 学校のテストだって近いんでしょ??」

 『ゴメンね、莉子ちゃん。 湊はそっけないだけで、悪気はないの』と木崎センパイのお母さんがワタシに苦笑いしながら謝った。

 別にそんな事は既に慣れているから、どうでもいい。

 そんな事より・・・木崎センパイ、医大受けるの!??

 このヒト、顔だけじゃなくて頭も良いんだ。


 「今日はカテキョの日じゃないからいいの。 それに、オレは夜じゃないと頭が冴えない」

 『つーコトで、オカンは何もしなくてイイから』と、やっぱり木崎センパイは、お母さんにすき焼きさえも作らせる気はないらしい。

 木崎センパイのお母さんは、木崎センパイのおかげで、完全に箱入りお母さんだ。