憎悪と、懺悔と、恋慕。

 
 ご機嫌な木崎センパイのお母さんに挨拶をして、木崎センパイとマンションを出た。

 『オカンに言われて仕方なく送ります』感を前面に押し出した木崎センパイと並んで歩く。

 ・・・空気が重い。

 そんなに嫌なら別にいいのに。 全然1人で帰れるのに。 ワタシ、高校生なんだから。 てゆーか、むしろ1人で帰りたい。

 「・・・あの、駅まででいいですから」

 機嫌の悪そうな木崎センパイに、遠慮がちに話し掛ける。

 「当たり前だろ。 早く戻らないとオカンが勝手にカレー作り出す」

 一刻も早く帰りたい木崎センパイに、ワタシを家まで送る気など更々なかった。

 言わなきゃ良かった。

 無駄に傷ついたし。